JLAについて
    THE RESCUE Vol.25掲載 2001.4 
 


 21世紀の幕開けに理事長に就任致すことになり、ここに謹んでご挨拶申し上げます。
 振り返れば、20年前の日本赤十字社救助員、そして指導員資格を取得しての湘南西浜における水難救助活動がこの世界に接した原点になります。その原点なる意味とは少年の溺水に接し、必死の人工呼吸、心臓マッサージも効果なく終わった、あの悔しさと限りない空しさを追求し続ける答えがみつかるまで包含しています。ともに蘇生を試みた友人とは、いまではそのことを語り合うことはありませんが、その時の少年を救えなかった我々失格者は、今日でもいちライフセーバーとして日本のライフセービング活動の重要性を説き、時に教員として、時に父として普及活動を続けています。それが、その少年の死に対する償いとなることを信じて無意識のエネルギーがそれを支えてくれています。
 このように個人的な理由の追求から、これからは公人としてのライフセービングを追求しなければなりません。しかしその原点を追求しつづけた今、こんなことが言えます。
「愛するひとを守れますか」。
 決して「救えますか」ではなく、愛するものを救う行為に至る守りという行為です。事故を未然に防ぐ日常のささやかな行為(例えば「気をつけてね」という言葉掛け)は立派なライフセービングといえるでしょう。つまり多くの救助をしたライフセーバーが優秀なのではなく、救助に至らしめない行為をさりげなくできる人づくりを日本協会は望み、そのような人こそ優秀なライフセーバーであると理解できるのではないでしょうか。よって、ライフセービング競技でいえば「一流の競技者は、一流のライフセーバーでなければならない」ということになります。
 ライフセービングには素晴らしい精神があります。その精神は人間教育に必要不可欠なものとして理解することができます。しかし、今日のわが国の凶悪犯罪をみてもわかるように、その生命教育が欠如していることは言うに及びません。21世紀の日本ライフセービング協会は、ライフセービング精神を教育・環境・スポーツに生かしながら、わが国の未来における社会貢献を具体的に推進するための人間作りを目指して参りたいと思います。
 最後になりましたが、金子邦親前理事長のご尽力に敬意を表し、改めてご支援をよろしくお願い申し上げますと共に、皆様の益々のご活躍をお祈り申し上げます。